銅価高騰と為替が追い風 円安影響はやや落ち着く
大手電線メーカー4社の22年度第3四半期決算が出そろった。半導体不足などの懸念もある中、銅価上昇と円安が追い風となり、各社ともに大幅な増収となった。過去最高の売上高を記録した住友電工や、営業利益が倍増となったフジクラの好業績が目を引くが、円安がやや落ち着いたこともあり、古河電工は通期の営業利益予想を大きく下方修正している。
大手電線メーカー4社の22年度第3四半期の連結業績は、全社が増収となった。利益面では、営業利益ベースでみると、3社が増益で、昭和電線のみ減益となった。
4社ともに、円安や銅価高騰の影響を大きく受けており、販売価格が上昇したことが売上高を押し上げた。その結果、住友電工の売上高は、過去最高となった。
円安は利益面でも寄与しているが、第2四半期決算時と比べると円高に転じているため、古河電工のように、前回発表時に上方修正した通期予想を、今回、下方修正した企業もある。
各社ごとにみると、住友電工は、売上高2兆9千119億7千300万円(前年同期比19.4%増)、営業利益948億2千500万円(同24.0%増)で大幅な増収増益となった。円安・銅価上昇のほか、ワイヤーハーネス、電力ケーブル、超硬具などの拡販も、好調な業績に貢献した。
古河電工は、売上高7千859億2千万円(同17.1%増)、営業利益60億3千300万円(同18.9%増)となった。為替と銅価以外のプラス要因としては、自動車部品・電池事業の大幅な伸長があった。利益面では、価格転嫁の進捗や為替影響などにより増益となったが、通期予想については前述の通り下方修正し、売上高を前回発表比1%減、営業利益を同33.3%減とした。理由としては、前回発表後に円高に転じたことのほか、スマホ・パソコンの需要減、中国でのデータセンターの需要減、在庫調整の長期化、半導体調達難による国内ネットワーク案件の延期を挙げている。
フジクラは、売上高6千127億8千800万円(同23.6%増)、営業利益565億900万円(同2倍)となった。第2四半期決算時には9割増だった増益幅がさらに膨らんだ。データセンターやFTTx需要が高水準で推移するエネルギー・情報通信事業部門やエレクトロニクス事業部門が業績を牽引した。
昭和電線は、売上高1千580億4千800万円(同7.3%増)、営業利益70億8千400万円(同14.0%減)となった。売上面では、銅価高のほか建設関連需要の回復がプラス要因となったが、自動車メーカーの減産により自動車関連製品の需要が減少した。