信越化学工業は11日、業界初となるバスバー被覆用熱収縮シリコーンゴムチューブを開発したと発表した。
バスバーは、これまで配電盤や制御盤で使用されることが多かったが、近年はEVやHEVで使われることが増えてきている。EVやHEV向けの高電圧化・大電流化が進んでおり、同時にバスバーに使用される絶縁部では、より電気絶縁性や耐熱性などに優れたものが求められている。同社はこのようなニーズに応えるため、高い電気絶縁性を発揮するシリコーンを使ったバスバー被覆用熱収縮シリコーンゴムチューブ「ST-ORタイプ」を開発した。
同製品は絶縁性能が優れており、絶縁破壊の強さは28kV/mmとなっている。使用温度範囲はマイナス40℃~プラス200℃と幅広く、耐熱性・耐寒性に優れ、厳しい環境下でも安定した性能を発揮する。
もともとシリコーンゴムチューブは熱を加えると簡単に収縮するという特性がある。バスバーの絶縁被覆に熱収縮シリコーンゴムチューブを活用することで、、電気絶縁性や耐熱性に優れたシリコーンゴムを被覆でき、配電システムの信頼性向上やバスバー加工工程の省力化や短縮に貢献する。
なお、同製品では、加熱収縮後もシリコーンゴムの持つしなやかさが失われないようになっている。外観は明るいオレンジ色であるため、高圧ケーブルの代替にもなるバスバーの絶縁被覆に適している。
同社はさらに、熱伝導性(1.0W/m・K)と電気絶縁性を兼ね備えた「ST-TC-1タイプ」もラインナップ。この製品は発熱部位に被覆し、熱を筐体に伝える用途に適している。