HCI フィジカルAIの体験会 電線業界でもロボット導入が進展

 電線製造機械とロボットSIerの両事業を展開するHCI(大阪府泉大津市・奥山浩司(剛旭)社長)は、7月1日に同社新テストファクトリー(TF)・CBM工場(泉大津市板原町)にて、内覧会およびフィジカルAI体験会を開催した。

 同内覧会は入場時間別に6部制となっており、約180人の取引先が参集した。同社のTFは、ロボットシステムおよびケーブル製造装置のテスト工場であり、一般客向けにもデモを行っていた。

 もともとのTFは同町内に存在したが、手狭になったため約1.3倍の場所へ移転し、従来のTFは塗装工場となった。展示内容は協働ロボット6台、産業用ロボット5台、フィジカルAI対応ロボットシステム2システム、清掃ロボット2台、運搬ロボット2台、AMR1台、撚線機2台、押出機1台ほか。

 また、TFに近いHCI本社にある、同社の社員食堂兼レストラン兼ショールームの「ロボカフェ」では、人型ロボットヒューマノイド(モバイルマニピュレーションAIロボット)「ロボボにゃん RMM-01D」も展示されていた。同ロボットは日本初のロボットヒューマノイドとして既に出荷済み。年末に向けてVLA(ビジョン・ラングウィッジ・アクション)対応にバージョンアップさせた新型機をRoboNext2026で展示する予定だ。

石曽根智昭氏

フィジカルAI進展 競争力強化の原動力に

 内覧会場には経産省製造産業局産業機械課ロボット政策室長の石曽根智昭氏も来場していた。石曽根氏は「ロボットの活用可能性が広がる昨今、今回のようなTFは実際にさまざまなロボットに生で触れられる機会になる。ロボットに触れたことのない企業にとっては、実際の使いどころがイメージできるため、このTFは最適だろう。今回の内覧会の主要テーマのひとつはフィジカルAIだが、ビッグテックが開発するようなベースの部分から、作業現場で活用される部分まで、さまざまな階層があり、世界的に見て開発段階の端緒と言える」と語った。

 さらに石曽根氏は、「その中で日本の強みは、HCIのような現場でロボットをインテグレートしてきた能力にある。現場のタスクをこなすフィジカルAIを伸ばすことが日本の競争力につながるだろう。この現場の能力は世界的にも注目されており、これこそが日本の勝ち筋となるだろう。また、各階層の生成AIを育てることが世界的潮流となっているが、6月30日に発表した『AIロボット・フィジカルAIを見据えたマルチモーダル基盤モデル開発事業』の実施体制において、国家プロジェクトとしてさまざまな企業がデータを持ち寄って開発を行っていく。これが、ヒューマノイドや産業用ロボットを含むすべてのベースとなっていく。また、現場用AI開発も川崎重工業、安川電機、ファナックといった企業がデータを持ち寄り、今年から始まろうとしている」と語った。

撚線機も受注が好調 張力制御が高評価

 今回のTF拡張移転が示す通り、同社によればI&R事業(インダストリアルマシナリー&ロボットシステム)とS&S事業(サービスロボット&ソーシャルシステム)は順調に伸びているという。また、撚線機も張力自律制御システムが高く評価されて、受注も好調のようだ。搬送ロボットについても、600kg以上のAMRも電線メーカー向けに採用されているという。電線業界内でもロボット導入、そして工程の自動化・自律化は確実に進みつつある。

電線新聞 4438号掲載