電線製造機械メーカーでありロボットSIerの顔も持つHCI(大阪府泉大津市・奥山浩司社長)は、モバイルマニピュレーションAIロボット「ロボボにゃん」を開発・製造している。12月までに現行の「RMM―01C」をバージョンアップさせ、VLAモデルのAI搭載を目指す。
VLAとは、視覚・言語・行動を統合したAIモデルで、カメラ映像と人間の言葉を理解した上で、ネット上の膨大なデータから最適解を推論してロボットが動作する。つまり、ロボットに脳の役割が付加される。さらに、底部の駆動輪を中央にも搭載することでその場で回転でき、背後のセンサでバック移動もできる。また、腹部のトレイは可搬重量30kgで、トータルの可搬重量は30kgのまま、両手に15kgの物を持って運べる。
同社の技術担当者は「アームも足回りも、基本はオープンソースのROS2を採用している。おそらく中国でもハードは自社製でソフトはROS2を採用し、これが世界的な潮流だろう。オープンソースはコミュニティが大きいので、トラブルがあった場合もフォローが容易だ。最近は、OpenVLAのように、オープンソース化されたVLAも発表されている。12月には単一タスクをこなすためのVLAを実装するが、今年度中にはマルチタスクをこなすVLAを搭載する」と語る。
最近、FANUCがNVIDIAやGoogleとの協業深化とソフトウェアのオープン化に踏み切ったように、完全自前主義の時代は今や過ぎ去ろうとしている。
海外大手ロボットベンダやEVベンダでは、二足歩行の人型ロボット開発が主流になっている。しかし、HCIは迅速なマーケットインと、そこからのフィードバックを優先し、同社の「ロボボにゃん」は足回りにAMRを据え、その上に猫型の双腕7軸多関節ロボットを搭載している。
奥山社長は「工場内での二足歩行は転倒リスクが大きいが、我々のAMRは全軸ブレーキなので、不測の事態にもその場で止まることができる。中国製フィジカルAIの開発資金や開発スピードは凄まじいが、同じ土俵で競う必要はない。人に寄り添い役立つロボットをつくれるのが日本の強みだ。
また、海外製による情報の抜き取りを危惧するお客さまもいる。安心できるのはやはり日本製だ。さらに、我々はサービスロボットと産業用ロボットのノウハウを熟知している。初期設定ではサンプルプログラムのみ実装しているが、学習ロボットなので、ニーズに合わせてカスタマイズできることが大きなアドバンテージだ」と語る。
HCIのラボでは、デジタルツインによる仮想空間で実機投入の前にシミュレーションを行えるので、時間的コストや現場学習における物理的リスクを低減する。VLA搭載型の「RMM―01D」は12月2~4日に開催するRoboNext(インテックス大阪)にてお披露目予定だ。2日に奥山社長は「日本の勝ち筋」をテーマに登壇する。
電線新聞 4445号掲載









