富士経済 EV/PHV向け 充電器最新動向調査

堅実に需要拡大続く 求められる大出力化
2035年市場は1兆8410億円に
中国が市場けん引

富士経済はこのほど、EV/PHV向け充電器の最新動向を調査した。充電器・充電システム本体および関連部品の大出力対応動向とそれにともなう熱制御・処理の動向、採用技術や素材チェンジなど、変革の方向性を明らかにした。

◆車載充電器

外部電源からの充電を行うEV/PHVに搭載される充電器で、普通充電器から供給されるAC電流をDCに変換し、車載バッテリーに充電するためのAC/DCコンバータを対象とする。EVやPHVには必ず1台搭載されるため、市場はEV/PHV新車販売台数に連動する。
2022年は、欧州ではEVの販売が好調なほか、米国でも量販車種であるピックアップトラックのEV化が本格化するとみられる。また、中国では2021年にEV/PHV合計で350万台超が販売され、2022年も好調が続くと予想される。それにともない、車載充電器の需要も増えている。
出力別では、出力6〜7kW製品が堅調に伸びており、11kW製品はTesla向けを中心に搭載が進んでいる。今後は、EV搭載バッテリーの大容量化にともない、AC普通充電の大出力化が求められていくことから、長期的には11kW製品が大きく伸びるとみられる。また、さらに大出力化が進み22kW製品の需要増加も予想され、2035年の市場は1兆8410億円まで拡大すると予測される。

■注目4カ国の急速充電器における大出力機のストック市場


急速充電器の市場は、堅調な伸びがみられるものの、状況は各国で異なる。現状、中国が需要の中心であり、長期的にも大幅な伸びが期待される。大出力機(151kW以上)についても、中国が市場をけん引すると予想される。
急速充電器の大出力化に関しては、新型コロナウイルス感染症の流行が長期化している影響を受け、大きな動きはみられない。CCS規格の「メガワット充電器」(1000kW)実用化とChaoJi規格の900kW充電実現に向けた実証事業は停滞している。
Teslaは、2023年中に出力500kWの「Supercharger V4」投入を開始するとしており、対応するEV/PHVが投入されていないため実設置が進んでいないCCS規格の500kW機に先駆けて、世界初の設置になるとみられる。

電材流通新聞2022年4月28日号掲載