太陽光発電システム および関連機器特集

アフターFITへの取り組み

自家消費ニーズに対応

太陽電池の出荷量は、2014年度までは増加傾向にあったが、その後は減少に転じた。背景には売電価格の低下などがある。こうしたなか、10年間の固定価格買取期間を終了するユーザーが2019年以降誕生。メーカー各社は、太陽光発電の電力を自家消費するニーズが生まれると想定し、新製品、新システムの開発に取り組んでいる。

住宅用太陽光発電

太陽光発電を設置した家が増加

太陽光発電協会(JPEA)が発表した我が国における2017年度の太陽電池出荷量によると、太陽電池モジュールの総出荷量(海外輸出含む)は5670MWで前年度比83%であった。
また、太陽電池モジュールの国内総出荷量は、5246MWで、前年対比83%であった。総出荷量および国内出荷量共に2014年度までは増加していたが、ここをピークにその後は減少に転じた。
この減少の背景には、太陽光発電の売電価格が年々低下傾向にあることなどが考えられる。
こうしたなか、固定価格買取制度(FIT)に先駆けて余剰電力買取制度が開始されて以来、2019年には10年目を迎える。FITを終了するユーザーが約50万件発生し、以降も毎年約20万件がFITを終了していくと予測されている。

新システムなどに注目

日東工業・独立電源システム(自立型ソーラースタンド)

電機メーカーは、太陽光発電から生まれた電力を、自家消費するニーズが年々高まると見て、新製品、新システムの開発に取り組んでいる。
三菱電機は、アフターFITに向けて発電した電気を無駄なく使う方法として、①自家消費率アップによる電力の有効活用②災害・停電など不測の事態への備えなどを挙げている。
具体的には、エコキュートにお湯でためること、EV用パワーコンディショナ「SMART V2H」により電気自動車に電気でためること、蓄電池に電気でためることなどを提案している。
そのうち、エコキュートにお湯でためることに関しては、「暮らしと設備の総合展」で、AI(人工知能)で太陽光発電の発電量を予測し有効活用する「お天気リンクAI」を紹介した。
「お天気リンクAI」は、天気予報によって翌日の太陽光による発電量を予測し、エコキュートのわき上げのタイミングを自動で判断する。太陽光による発電量が多いと予測される日は、太陽光発電の電気を利用するように運転。
反対に、太陽光による発電量が少ないと予測される日は、夜間電力を使用してわき上げるなど、太陽光発電を有効に活用できる。
パナソニック エコソリューションズ社は、蓄電池を後から設置することが可能な「創蓄連携システムRタイプ」を発売している。
太陽光発電システムに蓄電池を追加する場合、既設のパワーコンディショナの取り換えが必要であったが、同製品は、取り換えなしに蓄電池を後から設置することができる。
そのため、売電を主流とした使い方から、電力自給自足型の使い方に、簡単にシフトすることができる。また、太陽光発電を設置後でも、蓄電池導入の検討ができるので、初期投資を抑えた形での備えが可能となる。
ニチコンは、FIT終了後に、売電から自家消費にシフトし、また、電気エネルギーで走る電気自動車(EV)の普及が進むと予測し、太陽光発電と家とEVをつなぐ「トライブリッド蓄電システム」を発売した。
太陽光発電、蓄電ユニット、V2Hスタンド等から構成され、太陽光で発電した電気をEVに充電したり、EVにためた電気を家で使うことができる。
また昼間、EVで外出をしても蓄電池を備えているので、太陽光発電の余剰電力を充電することもできる。
今後、FITを終了する住宅やパワコンの買い替えを検討する世帯への販売を行う。
東芝ライテックの定置式家庭用蓄電システム「eneGoon(エネグーン)」は、住宅用分電盤に接続できるため、新規はもちろん既存の太陽光発電との組み合わせができる。
また、太陽光発電システムは、メーカーを問わない。さらに、蓄電池導入時に、太陽光発電システムのパワコン交換が不要。
加えて、住宅の分電盤に接続することで、家中の機器で蓄電池の電気を利用できる。100V機器だけでなく、エアコン等200V機器にも使えるなど幅広い機種に対応する。
太陽光発電に限らず、送電ロスを考慮すると、電力は地産地消、自家消費が望ましい形といえるかもしれない。
東京・檜原村に納入された日東工業独立電源システム(自立型ソーラースタンド)は、地産地消型のユニークな製品といえる。
太陽光パネル、LED照明、携帯充電機能、Wi—Fi中継機能、蓄電池等で構成され系統の電気を使用せず、昼間は太陽光パネルの電気を、夜間は蓄電池にためた電気を、LED照明、携帯充電機能、Wi—Fi中継機能に供給する。
スマートフォンをはじめとする携帯電話機全般の充電ができ、夜間はLED照明が自動点灯する。
また、Wi—Fi電波を中継できるので、観光案内にも役立つ。さらに電力会社の電気に依存しないで、災害などの緊急時の電源としての活用も期待される。

太陽光発電の市場に一時の過熱感は見られないが、FIT終了に合わせて様々なニーズ、新製品等が生まれつつある。工・製・販が一体になり、市場を注視し新しい需要に取り組んでいくことが望まれる。