監視カメラ関連機器特集

機器の高機能化やネット ワーク化など着実に進展


2018年度の映像監視装置の国内推定市場規模は、前年度比97・0%と3年連続の減少となったが、高機能化やネットワーク化など、技術が着実に向上。安全な生活を守るためのツールとしてだけではなく、犯罪捜査に利用されるなど、果たす役割が年々大きくなっている。日本防犯設備協会でも防犯設備機器の普及を後押しする事業を展開していることから、市場の拡大が今後も期待されている。


果たす役割ますます拡大

日本防犯設備協会が今月発表した資料によると、2018年度の映像監視装置の国内推定市場規模は、約1499億円で、前年度比97・0%と推定され、3年連続の減少となった。また、2013年度の国内推定市場規模を100とした指数でみても97で、5年前を下回る水準となっている。ただ、その前年の2012年と比較すると、大幅に上回っていることから、比較的高水準で推移しているといえる。
社会における認知度が向上し、果たす役割がますます大きくなるなかで、映像監視装置の国内市場規模の伸びが鈍化している要因としては、「メーカー間の競争による販売価格の低下があるものと推測される」(同協会)。その一方で、周辺を含めた機器の高機能化は着実に進んでいる。
防犯カメラと周辺機器構成比を見ると、ネットワークカメラの構成比が増加している。これは、ネットワークカメラの映像データを画像解析へ利用するなど、防犯目的以外の分野へ用途が広がっていることも一因、と同協会はみている。
映像監視装置の種類別構成比を見ると、防犯カメラと周辺機器、デジタルレコーダーが増加している。また、防犯カメラと周辺機器構成比では、ネットワークカメラが前年度から5ポイント以上の大きな伸びをみせた。 同協会では、昨年度からアナログHDカメラ/レコーダーの統計調査を開始したが、市場規模は、既にHD—SDIカメラ/レコーダーを上回っている。同協会ではさらに、今年2月からアナログHD方式のRBSS認定を開始した。アナログHDは、高画質映像(1280×720画素以上)のデジタル映像データを、非圧縮でアナログ信号に変換し、同軸ケーブルを用い長距離伝送を可能とした方式のこと。簡単設定で同軸ケーブルでの高画質(HD)システムの構築が可能で、長距離リアルタイム伝送が可能という特長を有していることから、「ネットワーク化を補完する機器として、今後の伸びが期待できる」(同協会)とみている。

日本防犯設備協会 防犯設備士とRBSS中核とした事業展開

日本防犯設備協会では、防犯設備士と優良防犯機器認定制度(RBSS)の2つを中核とした事業を展開している。
防犯設備士は防犯設備機器の設計・施工・維持管理といった防犯システムの専門家にふさわしい資格で現在の登録人数は2万9千人を超えている。今年の賀詞交歓会であいさつに立った伊藤泰之会長は「防犯設備士に関しては昨年、テキストも大幅に改訂し、資格の取得者が2万9千人強ということで、もうすぐ3万人に届く。防犯設備士の皆さんは、各地において防犯診断などで大変活躍されているので、認知度や貢献度も年々高まっている。資格の更新も2016年度から始めている。さらなる活躍の場を広げるとともに、認知度を高めたい」と述べている。
2020年度の試験開催日程は別表の通り。
一方で防犯カメラ、デジタルレコーダーを対象としたRBSS(優良防犯機器認定制度)は、2008年からスタートし先述の通り、アナログHD方式のRBSS認定を今年2月から開始。最初の審査会で防犯カメラ9型式、デジタルレコーダー4型式が認定された。
累計の認定型式数は、防犯カメラがアナログHD方式9型式を含めて501型式、デジタルレコーダーがアナログHD方式4型式を含めて185型式となっている(2020年2月現在)。2014年度からは、LED防犯灯に関してもRBSS認定制度をスタートしており、既に174型式となっている(2020年2月現在)。
こうした協会の下支えもあり、防犯設備機器市場は今後も一層の拡大が期待される。

電材流通新聞2020年3月12日号掲載