大手4社決算、コロナで明暗

得意事業にて温度差
構造改革遂行  フジクラのみ増益


大手電線メーカー4社の21年3月期上期連結業績が出揃った。新型コロナの影響で全社が減収。営業、経常損益ではフジクラのみ構造改革、巣ごもり需要の取込みで増益となった。得意事業や品種構成などが各社異なり、コロナの影響の程度で明暗が分かれた。各社別の業績動向は次の通り。


住友電工は減収、全利益で損失となった。コロナ禍による営業損失は900億円(うち自動車630億円、産業素材120億円)となった。一方、情通関連事業は、光・電子機器などの需要増と生産性改善によるコスト低減で光ファイバの価格低下を吸収し唯一増収増益となった。一方、自動車関連事業は車用WHや電装部品、防振ゴム・ホースが自動車生産の落ち込みで大幅に業績が低下した。

古河電工は22%減収、営業損失、経常損失を計上した。コロナ禍による自動車部品事業と電力事業での海外子会社の操業低下などが大きく影響した。コロナの影響が売上高を800億円、営業利益を160億円押し下げた。北米の光ケーブル拠点や国内の建販電線、自動車用WHのフィリピン拠点などが影響を受けた。機能製品のみ黒字を確保した。

フジクラは、減収も大幅増益となった。事業構造改革効果、費用削減、銅価上昇の差益に加え、エレクトロニクス事業でPC・タブレット・携帯などのデジタル機器向けの巣ごもり需要などを取り込んだ。特に、情通エネ事業が減収も大幅増益になり、エレ事業が赤字から黒字転換したことが寄与した。

昭和電線は、第2Qに回復基調となったが、第1Qのコロナ禍が響き、全事業で減収減益。ただ、上期業績はほぼ想定通りに推移し、全利益で18FY上期を上回った。継続的な構造改革が寄与した。

電線新聞 4220号掲載