プロダクトデザイナー 柴田文江さん 日本人初 「エル・デコインターナショナルデザイン アワード」照明部門でグランプリを受賞

世界最大のデザイナーの祭典「ミラノデザインウィーク」がこのほど開催され、「エル・デコインターナショナルデザインアワード(EDIDA)」の照明部門でプロダクトデザイナーの柴田文江さんが日本人で初めてグランプリを受賞した。
ミラノデザインウィークは、毎年4月に開催しているが、今年はコロナ禍の影響で延期された。「エル・デコインターナショナルデザインアワード」は、デザイン界のアカデミー賞とも称され、世界25カ国のエル・デコ誌編集長の投票により決定する。
柴田さんは、1990年に武蔵野美術大学を卒業し、東芝デザインセンター勤務を経て94年に「Design Studio S」を設立。現在、グッドデザイン審査委員長などを務めている。代表的な製品には、オムロンの体温計「けんおんくん」、コクヨの手帳「trystrams」、資生堂のかみそり「プリペア」、パナソニックの「補聴器」などがある。
今回、チェコの照明ブランド「BROKIS(ブロッキス)」から出品されたインドアでも氷点下のアウトドアでも使える照明器具「BONBORI」でグランプリを受賞した。
BROKISは、200年以上続く吹きガラスの伝統ガラス工芸技術を継承するチェコ・ボヘミア地方の老舗ガラス工場がその技術を存続させるべく、2009年に若手女性デザイナーのルーシー・コルドバ氏をアートディレクターに迎えてスタートした。
ボヘミアグラスのたしかな技術とコルドバ氏のみずみずしい感性にトップデザイナー達のデザインが加わり、いまヨーロッパでもっとも注目されている。
BONBORIの光は、ほたるのように優しく、どこかはかない光で庭やインテリアをおだやかに照らす。
エル・デコの木田隆子ブランドディレクターは、自身のFacebookにつぎのように記している。
「柴田さんやBROKISのことを知らない編集長がいたかもしれないが、作品を見て『これにしよう!』と投票させるものが柴田さんのデザインにはあって、それはグローバルな場所においても発揮されたということではないか。今後、世界の人々は『すごいデザイナーが日本にいたのになぜ彼女を知らなかったのだろう』ということになると思う」
柴田氏は、今回の受賞について「ここ数年取組み始めたヨーロッパでのモノづくりがこのような形で多くの人々に知っていただけてとても嬉しい。ボチボチとそして楽しみながらこれからも続けたい」と喜びをかみしめる。
(中尾晋也)

電材流通新聞2021年9月23日号掲載