電工さんの工具箱 第6回「腰袋」こだわりの腰道具

早業を競う男たち

一説によると、デューク東郷の早撃ちは0.17秒らしい。もちろん、超A級スナイパー「ゴルゴ13」のことだ。「ルパン三世」の次元大介は0.3秒、「シティーハンター」の冴羽獠は0.2秒、意外にも「ドラえもん」の野比のび太は0.1秒という噂だ。

西部劇などでは、ガンマン同士が背を向けて1歩、2歩、3歩……振り向きざまに目にも止まらぬ早さで撃ち合い、クルクルと銃を回して腰のホルスターに収める。武器を奨励するつもりは毛頭ないが、映画や漫画だからカッコイイ。それに西部開拓時代のカウボーイたちは、仕事の道具として銃を腰にぶら下げていた。そう、銃が格好いいのではなく、腰にガンベルトを巻いた出で立ちがいいのだ。荒野のカウボーイが丸腰だと、まるでさまにならない。

現代のカウボーイ&カウガール!?
つまり、カウボーイの装いはファッションではなく作業着である。男性の作業着姿にときめくという女性は多いようだが、作業着に腰ベルトを巻いた電気工事士は、男の目から見てもすてきだ。ちなみに、ここで説明するまでもないが、職人は現場で使う道具を入れた腰袋(バッグ)を腰ベルトに固定して持ち歩く。そこからサッと道具を取り出して素早く仕事をこなす姿は現代のカウボーイか!? 電気工事士も丸腰では、仕事にもさまにもならないのだ。

イメージ図:株式会社マーベル

電気工事士は、ペンチ、ニッパー、ドライバー、電工ナイフ、ハンマー、スケール(メジャー)などを基本として、あとは必要に応じてさまざまな工具を加え、自分なりの〝腰道具〟をつくる。長年かけてつくり上げた自分仕様の腰道具は、しっくりなじんで疲れが少ないという。

腰袋はメーカー各社から多種多様な製品が販売されていて、選ぶのに迷うほどだ。ベテランの職人さんなどは、皮革製を愛用している人が多い。

株式会社マーベル 電工ポケット〈皮革〉

色味は茶系で造りはシンプル。重厚感があり、雨に濡れるとさらに重い。しかし、ベテランいわく「軽い腰袋なんて、腰袋じゃねえ」らしい。丈夫で長持ち、使い込むほどに味が出る。

一方、ナイロン製キャンバス地などの腰袋も人気だ。

株式会社マキタ 職人用ポーチ

株式会社マーベル  腰袋(ソフトフィット 3段) 取り外しポーチ付き

ジェフコム株式会社 電工キャンバスハイポーチ

むしろ最近は、こちらのタイプが主流といっていいかもしれない。
デザインもカラーも豊富で軽量だ。最近は女性職人を意識したピンク色や、キャラクターがあしらわれた腰袋もある。そう、カウボーイだけじゃない。カウガールだって活躍しているのだ。腰袋をさげて現場を飛び回るその姿は、抜群にカッコイイ。