キュービクル式 高圧受電設備 特集 新型コロナの影響で好況一変 鈍い設備の増設や更新の動き

河村電器産業
受電設備 屋内の電気室に最適
サブステーションコンポ

図1 電気室用受電設備「サブステーションコンポ」

■電気室のリニューアルに最適な受電設備

従来の建物において、屋上へのキュービクル設置に代わり、災害対策とかメンテナンスなどの側面から、屋内に電気室を設けることがある。また、既設の建物への電気室のリニューアルなどあるが、その際、通路でキュービクルを搬入できないケースが多い。
そこで、それら電気設備の設置を円滑に行うため、現地で骨組みとなるパイプに機器を組み付け、配線を接続して構築するため旧来の電気室の設計を採用する方法がある。特にリニューアル工事の場合は、設備の切り替えまでは旧設備で受変電を行いながら無停電での工事が必要であるが、設置までに多くの時間(日数)がかかり、費用がかさんでしまう。しかも、骨組みを作成できる職人が少なくなっているため、工事まで長期間待ちというのも珍しくない。
そこで、この問題を解消するため設計されたのが、受電設備をコンポーネントとして考えたSubstat ionCompo(サブステーションコンポ)である。
サブステーションコンポは、上下に2分割されたフレームに電気室の機器を工場で組み込み、盤内配線を行った変電設備である。そのため、現地の電気室への間口や通路が狭い建物でも分割して搬入可能である。(イメージ図1・2・3参照)。
さらに、現地では分割したユニットを組み合わせて、ねじやアンカーなどで固定すれば工事は完了することができ、作業者も従来の半分以下に抑えることもできる。
ラインアップも、さまざまな電気室リニューアルのニーズに対応できるように設定されており、たとえば、CTが電気室外にCBタイプの受電盤のVCBを高い位置の組み付けたタイプも用意されており、電気容量、配線要求に合わせて選択することができる。

図2 3つのポイント

図3 フレームを分割・ユニット化した設置方法

内外電機
リニューアルに注力!
『キュービクル』

キュービクル

 同社では①省エネ㈪耐震㈫老朽化の3つの観点から、リニューアル需要に注力している。
現在、使われているキュービクルは20年以上経過したものが多く、収納する機器を含め更新推奨時期を迎えている。
省エネに関しては、新しいキュービクルはエネルギー消費効率が向上しており、大きな省エネ効果を得ることができる。
環境に優しく、さらには電気料金の削減効果も得られる新しいキュービクルへの更新を進めている。具体的には、省エネ効果としては、エネルギー消費効率の向上。基準負荷率40%として、油入変圧器の場合は49%向上、モールド変圧器の場合は50%向上する。
年間電気料金削減は、単位電気料金12円として算出すると、油入変圧器は年間削減効率12万6千円。モールド変圧器だと、年間削減効率は14万9千円。
耐震に関しては、耐震性能向上を図っており、地震による損傷を最小限に抑え、電気を安全に供給するための構造になっている。
老朽化については、新しいキュービクルを更新すると大きな「安全」「安心」が得られる。受配電設備にも寿命がある。寿命とは一般的には使用中に受ける種々なストレスや経年劣化などにより、機器の電気的・機械的な性能が低下し、使用上の信頼性や安全性が維持できなくなる時期をさす。適切な時期の機器更新が重大事故、波及事故を防ぐ。20年以上経過したキュービクルは収納する機器を含め更新の推奨時期を迎えている。

日東工業
図面作成システム アシスト機能発揮
QBSTA

QQSキュービクル図面作成システム「QBSTA(キュービクルスタ)」は、キュービクルに不慣れでも画面上のアシスト機能で作図できる。これまでのQQS選定ガイドから大幅にリニューアルし、さらにカンタンに使いやすくなっている。
対応範囲は、LBS受電タイプ3面体以下からLBS受電タイプ+VCB受電タイプ6面体まで拡大した。
新たな機能としては、主遮断器と変圧器容量のみの指定で作図できる「かんたん選定」と入力内容に応じて箱寸法を自動判定する「AI箱選定」を追加している。
ジャストライン版では、アンカーボルト耐震計算書やキュービクル換気量計算書の作成が可能となっている。

◇圧倒的な作図範囲

▽LBSとVCB両方の受電に対応
▽6面体まで対応
▽各種オプションも指定可能

◇カンタン選定

必要なのは主遮断器と変圧器の容量、本数だけで、それ以外の機器は一般的な内容で図面を描ける。

◇AI箱選定

入力した内容から自動で箱を選ぶ。箱寸法を指定し、その範囲で収納できる機器を選定することもできる。

◇計算書作成(ジャストライン版のみ)
入力した内容と設置場所、方法から耐震計算書を作成できるほか、キュービクルの換気量計算書も作成できる。

日本電機産業
増設など施工時間短縮
VCBユニット

同社はキュービクルの専業メーカーとして、新設、リニューアル案件に対応した機種を取り揃え、製造・販売している。
営業担当者が図面まで作成するため迅速な対応が可能なほか、現場での問題を解決する豊富なノウハウでユーザーニーズに応えている。
最近、リニューアル需要がとくに増えているが、増設・改修工事では現場によっては停電時間が長く取れないことが少なくない。こうしたニーズに応えるべく、VCBユニットやアジャストベースなどをラインアップしている。
VCBユニットは、盤幅800㎜(間口680㎜以上)ならどの現場にも対応でき、マルチメーターの標準装備で高圧機器(断路器・VCB・VT・CT)と保護継電器が取付・配線済みのためそのまま組み込める。作業時間の大幅な短縮とともに工場検査済ユニットが納入可能となり、施工時間と検査の短縮にもつながる。
キュービクルは、1000kVAまでの大容量でもトランス出しをせずに一括搬入することが可能で搬入時間の短縮にもつながる。規格最大容量が4000kVAまでの形式認定を取得したキュービクルを製造し、短納期で提案できる。

電材流通新聞2020年10月22日号掲載