住友電工は2日、第5世代移動通信ネットワーク(5G)を用いた、交通信号機と交通管制センターを接続し、かつ車両への信号情報提供を可能とする「インターフェース・プロトコル変換装置」の実証実験に成功したと発表した。
内閣府が運営する官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)において、デジタル庁、警察庁、総務省の連携のもと、5Gのエリア拡大と交通信号制御の高度化を目的とした事業「交通信号機を活用した第5世代移動通信システムネットワークの整備に向けた調査検討」が、19年度〜21年度にかけて実施されていた。
同社はこの事業で、モデム通信を、5G等のネットワークに収容可能なIP通信にプロトコル変換し、同時に変換時の通信情報から車両向け信号情報を生成する「インターフェース・プロトコル変換装置」を開発し、実際の交差点で実証実験を行った。
秋田、東京、大阪の3都府県の計4交差点で行われた実証実験では、稼働中の交通信号機と本装置を5G経由で交通管制センターに接続し、信号制御が問題なく行われることが確認できた。
また、東京での実証実験では、本装置が出力した信号情報を、自動運転実験用車両に配信する実験も併せて行い、実験用車両で問題なく信号情報を受信できることが確認できた。
さらに、本装置は交差点での5G活用を妨げぬよう、全国で利用されている主要なモデム接続交通信号機用通信プロトコルのIP通信変換にすべて対応しているという。
同社は、継続的な技術開発・検証を可能とするために、横浜製作所内に本装置、5G基地局、模擬交通管制センター、V2I(交通信号機と車両間での直接通信)/V2N(車両とネットワーク回線間での通信)に対応した情報提供装置等を設置。実際の交差点と同様の評価フィールドの整備を行っている。この評価フィールドを用いて、信号柱等交差点での適用性を高めるため、屋外設置が可能な5G端末を開発している。
また同社は、本装置をはじめとする交通インフラ製品の開発・提供を通じて、交通信号機と交通管制センターとの接続による信号制御の高度化を支援し、安全・円滑な道路交通の実現に貢献するとしている。