電気の豆知識 ~いつか役立つ⁉︎ 電気にまつわる雑学篇~ 「温泉と地熱発電とニッポン」

日本人は世界一のお風呂好き

「昨日、たまたま風呂に入らなかった」というだけで、引かれます。今まで楽しく談笑していた周囲の人たちが一歩後ずさりします。「真夏に2日間」なら、ドン引きです。信じられない……という表情をされます。仕方ありません。ほとんどの人は夏でも冬でも毎日風呂に入って体と髪を洗い、じっくりと湯船につかっているのですから。欧米人はあまりバスタブにはつからず、シャワーでさっと済ませることが多いようですね。日本人の清潔好き、風呂好きは世界一といわれています。


いい湯だな、あははん

寒い季節になると、温泉が恋しくなります。風呂が嫌いという人はいますが、温泉が嫌いという人はあまり聞いたことがありません。春の花見と同じく、冬の温泉は日本の風物詩というより、日本人のDNAに組み込まれているような気さえします。

ジャンボびっくりQ~!

おおっと、ここで「ジャンボびっくりクイズ」です! さて――

日本全国にある温泉地の数は全部で何カ所でしょう? カッチ、カッチ、カッチ……

①約300カ所

②約3000カ所

③約3万カ所

A 答えは②です。

環境省の「令和2年度温泉利用状況」によりますと、日本全国にある温泉地の数は2934カ所です。一番多いのは、意外といえば意外な北海道で234カ所。一番少ないのは沖縄県で12カ所です。ちなみに東京都は21カ所、大阪府は34カ所です。また、全国にある源泉の総数は、なんと2万7970カ所。やはり日本は温泉天国です。

温泉の豆知識

わが国の温泉は、温泉法という法律で定義されています。簡単にいうと、地下から湧く温水などで源泉の温度が25℃以上か、25℃未満であっても定められた19種の物質のうち1種以上含まれていれば温泉です。

その成り立ちは「火山性温泉」と「非火山性温泉」の二つに大別されます。つまり、火山か、火山じゃないか。

〈火山性温泉とは〉

火山地帯では、地下数km~十数kmの辺りに1000℃前後のマグマだまりが存在します。一方、地表に降った雨や雪の一部が地中に染み込み込んで地下水となります。この地下水がマグマだまりの熱で温められ、地表に湧き出したものが火山性温泉です。掘削して人工的にくみ上げる場合もあります。

〈非火山性温泉とは〉

「深層地下水型」と「化石海水型」があります。前者は、マグマではなく高温の地熱や岩石によって地下水が温められたもの。後者は、地殻変動などで地底に閉じ込められた太古の海水が、前者と同じく高温の地熱や岩石によって温められたもの。それらが地表に噴出するか、掘削してくみ上げたものが非火山性温泉です。いわゆるスーパー銭湯など都市部にある温泉は、ほとんどがこのタイプです。

太古のロマンに浸る

人類の歴史よりも古いといわれる温泉の始まりは誰にもわかりませんが、兵庫県の有馬温泉、和歌山県の白浜温泉、愛媛県の道後温泉は「日本三古泉」とされています(別の説もあり)。開湯1400年の歴史を有する有馬温泉は非火山性の化石海水型であり、その湯は約600万年前の海水だといいます。

マグマの熱をエネルギーに

温泉天国である日本は世界有数の火山大国であり、マグマの熱は発電にも利用されています。そう、地熱発電です。ようやく『電気の豆知識』です。

地下水がマグマに熱せられると、熱水や高温の蒸気がたまった「地熱貯留層」を形成することがあります。この層に向かって井戸などを掘り、取り出した蒸気でタービンを回して発電するのが地熱発電の一般的な仕組みです。蒸気を直接利用するフラッシュ方式と、沸点の低い別の流体を利用するバイナリ方式があります。

クリーンでサステナブルな地熱発電

地熱発電はCO2排出量が極めて少ないクリーンエネルギーであり、サステナブルな再生可能エネルギーです。しかし、開発コストが高いといった課題から、今のところ発電量は日本の総発電量の1%にも満たないのが現状で、関係機関では引き続き研究開発が続けられているようです。今後に期待しましょう。資源の乏しい国ニッポンの貴重な天然資源である火山をエネルギーとして十二分に活用できれば、それは素晴らしいことですね。