ABB、愛知県豊田市にアプリケーション・センター中日本 オープン。自動車、金属加工向け導入・活用を支援


ABB は6月4日、愛知県豊田市に「ABB ロボティクスアプリケーション・センター中日本(愛知県豊田市鴻ノ巣町4 − 86 − 1)をオープンした。ユーザー企業やロボットSI が同社と一緒にロボットのアプリケーションをテストできる“ コラボレーション” の場で、自動車関連産業と金属加工業を対象とする。
特に新規でロボットシステムを導入したい、検討しているという企業や、これまで人手で行っていた工程をロボット化したいというニーズに対し、一緒に考え、解決に導いていく。


アクセル・クーア社長

ABB ロボティクスアプリケーション・センターは、ユーザー企業やロボットSI の願望を実現するための場所で、世界で28 カ所運営している。国内では2014 年に食品業界と協働ロボットをターゲットとしたセンターを東京都多摩市に開設しており、今回は2 カ所目。新センターは2 階建て約700㎡の建屋内に7 台のロボットブースを設け、自動車や自動車部品、金属加工業などを対象としたアプリケーションテストができる体制となっている。
ABB ジャパンのアクセル・クーア社長はセンターの役割について「1 つはユーザーの自動化に対する不確かさ、リスクをテストし、自動化を促進していくこと。2 つ目はグローバルの知見を生かし、アプリケーションを開発すること。3 つ目はユーザーとロボットSI のトレーニングを行う場となること」という3 つを挙げた。金属加工や自動車製造向けにも作って欲しいという声に応え、今回の開設に至ったとしている。

■自動車、金属加工業向けアプリケーションに特化
新センターは、自動車と部品製造、金属加工業でよく使われるアプリケーションに合わせた7 台のロボットシステムのテストブースを設置している。
プレス機械向け搬送ロボットシステムは、6 軸多関節ロボットの先に直動機構の1 軸を加えた7 軸ロボットで、エンドツールも軽くて薄いカーボンファイバー製の特別仕様。機械がプレスする間を縫って素早く材料を機械に送り込むことができ、生産効率アップを実現できるもの。
フォースコントロールのブースでは、力覚センサを使って波形状のワークの上を一定の力でなぞるように動かすデモを実施。JR 東海道新幹線の車両の洗浄(表面の塗装研ぎ)工程にも応用されている技術だという。
工作機械へのワーク投入と取出しに関しては、コンベアなど搬送系、画像処理、安全柵など安全系すべて揃ったワンパッケージで提供している「FlexLoader SC3000」を展示している。
また全自動のロボット検査装置は2 種類を展示。3D 品質検査パッケージ「FlexInspect」と双腕の協働ロボットYuMi を使ったばら積みピッキングと外観検査を組み合わせた自動検査システムを設置で、検査のロボット化を提案している。
さらに、センターのロボットはABBConnect でデジタル化を実現。ロボットはネットワークにつながって全軸の状態が監視され、どこに負荷がかかっているかを見える化され、予知保全やサポート等にも活かされている。

■自動車産業におけるロボット化事情とABB
自動車産業におけるロボット化の進捗具合について、ロボティクス事業部の中島秀一郎事業部長は「自動車メーカーはほとんど自動化が終わっている。最終組み立てと検査工程などが残っている程度。Tier2、Tier3 はほぼ手つかず。感覚値ではメーカーを100 とすると、Tier1 は60、Tier2、Tier3 になるとガクンと落ちる。いま引き合いが多いのは、そうした自動化やロボット化がまだ進んでいないTierX という層だ」と分析。その上で、「日本市場は有力顧客の存在、有力な競合メーカー、優れた部品サプライヤーなど年々その重要性は高まっている。アプリケーション・センターをユーザー企業とロボットSI、当社の技術者が協働して新しいものを生み出していく場として有効に活用し、日本における当社の存在感が見えるところまで持っていきたい」としている。

2018年6月22日 別冊

オートメーション新聞