【電材流通新聞主催】照明専業メーカー座談会

本紙・電材流通新聞社は9月6日、静岡県熱海市のホテル ニューさがみやで「照明専業メーカー座談会」を開催した。LED照明を核とし、照明業界の課題と今後の見通しについて意見交換した。座談会には、全国照明器具協同組合連合会梅田照幸会長(コイズミ照明代表取締役社長)をはじめ専業メーカー各社首脳7氏が参加した。


出席者一覧
全国照明器具協同組合連合会 会長 梅田 照幸氏
(コイズミ照明株式会社 代表取締役社長)
星和電機株式会社 代表取締役社長 増山 晃章氏
大光電機株式会社 代表取締役副社長 山本 善教氏
株式会社遠藤照明 常務執行役員 鍛冶谷 栄司氏
ウシオライティング株式会社 取締役社長 椿 隆二郎氏
コイズミ照明株式会社 取締役商品管理本部長 吉村 典之氏
大光電機株式会社 執行役員 串間 隆一氏

本紙主筆 山田 剛


 ——最初に、照明業界の全需の動向について、梅田会長からお話しいただきたいと思います。
 梅田 工業会の4月〜7月の数量ベースのデータでは、全体で100.7%となっています。内訳としては、住宅用が100.7%、非住宅の屋内が104.2%、屋外が95.5%ということで、LED器具全体で101.8%。LED以外も含めると、先ほど申し上げました100.7%という数字になります。
ですから、数量ベースとしては、ほぼ横ばいという数字になっていますが、流通系の方々に話を聞いてみると、売上げでは昨対を割っているという話が圧倒的に多いですね。
それから、我々専業メーカーも前年維持が大変厳しいという状況が続いていると思います。
申し上げました数字は数量ベースですので、これに単価を掛けた時に、金額ベースではさらに厳しい数字が出てくるのではないかという状況だと考えています。
住宅用の中で、数量ベースで落ち込みが出ているのが吊り下げとシーリングです。吊り下げが89.4%、シーリングが95.3%ということで、住宅用をけん引してきた一番大きいボリュームのシーリングが、数量ベースで前年を割ってきているという状況です。
非住宅は104.2%ということで伸びています。一番の要因は直管形の一体型と言われている部分です。ここが112.5%ということで、蛍光灯からの移行が順調に行われているとみています。
ただし、施設用においても、ダウンライトについては96.1%ということで、数量も伸びていません。また、ボリュームは小さいのですが、高天井器具については、110%と伸ばしています。
それから、屋外の非住宅で、防犯灯が85.5%と大幅に落ち込んでいます。街路灯については105.2%、一番ボリュームのある投光器は110.5%ということで伸びていますし、トンネル用の器具も伸ばしています。
エリア別の出荷統計をみてみても、目立って良いところがないのが実態です。近畿・首都圏は100%を少し超えています。それから、パイは小さいのですが、北海道も伸びています。他のエリアについては、前年から下がっているという状況です。
住宅着工については、4月〜7月での総戸数が前年度比98.35%となっています。持ち家、貸家ともにそのぐらいで推移しています。分譲については、マンションが93.72%となっていて、昨年あたりから少し過剰気味だと言われていたなかで、ここへ来て、数が減ってきています。
施設は床面積ベースで101.6%となっていて、やや伸びています。そのなかで、事務所が129.9%ということで、非常に順調に推移しています。棟数は減っていますが、床面積でカバーしていると思います。
店舗については、民間の店舗が棟数については99%ぐらいなんですが、床面積では95.2%ということで、大型がなくなってきているということだと考えています。
業態として大きく伸びているのは民間の工場です。対前年比125.4%です。施設の40Wの直管形などが非常に順調にいっていることに連動しているのだとみています。
それから、宿泊・飲食系ですが、ここはすごく良いのではないかと思っていましたが、出荷ベースでは101.9%となっています。ただ、誰に聞いても、仕事の件数は多いということですので、これから伸びてくるのではないかと見ています。そういう意味では、まだ楽しみが残っているという気がしています。
最初にも言いましたが、全体として101.6%ということなので、デコボコはありますが、照明としては厳しい状況だと思います。住宅はシーリングとダウンライトが単価ダウンとなっていますが、施設においても40Wタイプが数量は伸びていますが、単価が下がってきています。物件対応の市場価格の乱れがあるので、そういった傾向が出ているのだと見ています。

 ——下期の見通しについてはいかがですか。
梅田 住宅着工については、なかなか伸びていかないと思います。上期は着工数が減少傾向にあったなかで、下期についても今年は下がっていくのではないかと考えています。総着工戸数についても、今年度は90万戸を割るのではないかとみています。
来年の消費税増税に関連する動きが徐々に出てくるのではないかと思いますが、あまり効果は期待できないのではないかという見方が多いですね。駆け込みというよりも、むしろ付加価値の高いもので単価を上げていく流れも出てきていますので、着工戸数としては少し厳しい捉え方をしています。
店舗については、前半は商業施設、とくにアパレルを中心とした店舗は厳しい状況となっています。衣料品関係のショップの在り方が、いま大きく変わろうとしています。Amazonなどを含めて、売り方自体が変わってきていますし、店のあり方そのものも試行錯誤が行われています。実験店舗も多くなっていますので、少し時間がかかるのではないかと見ています。
スーパーマーケットが少し息を吹き返してきているという話が出てきています。生活提案型に移行していることが成功するかどうかに注目しています。スケールは半分ぐらいにして生活密着型にする。扱い品目としては、いままでのものにインテリアや家具などを入れたり、健康関係を取り入れた新しい業態作りに取り組まれています。こういった試行錯誤がしばらく続くとみていまして、今年や来年ぐらいまでは、まだまだ拡大には至らないのではないかと考えています。
ホテルについてはインバウンドの影響で、大変な勢いで建っていくと言われています。先日得た情報によると、2020年までにこれから全国で800棟ぐらいのホテルが建つそうです。規模の大小はあるとは思いますが、全国各地で建っていきますので、照明器具にとってはひとつの明るい方向性だと思います。
それから、公共施設関連の国の予算があまり付いていないということで、ゼネコンさんの話では85%ぐらいだと言われています。こうした公共部門が前年割れしていることが、建設業界全体の売上げの減少に影響しているようです。この辺りは、小学校や中学校も含めてLED化のスピードが遅い分野です。時間はかかるかもしれませんが、環境系やエネルギー問題を含めた予算付きによっては、まだまだ有望な市場になっていくのではないでしょうか。

 ——増山さん、上期の御社の状況についてお話ください。
増山 当社は4月〜6月の情報を開示しています。毎年同じような傾向があるのですが、当社の場合、第1クオーターの4月〜6月というのは、売上げがあまり寄与してこないということで、低めに計画を立てています。ですので、ほぼ計画通りに推移しているというのが実情です。

——山本さん、お願いします。
 山本 4月から8月までの実績では、昨年を超えています。先行きはまだ見えてきませんが、後半は何とかなるだろうという期待感はあります。
梅田社長がおっしゃったように、全国的にどこが良い悪いという話ではありません。大阪は店舗関連が良くないですね。私が回っている範囲内では、大阪は8月が厳しい状況です。
それ以外で言えば、東京も良くなっていますし、前半は善戦できたと考えています。

 ——分野別ではいかがですか。
山本 ここへ来て、店舗は戻ってきているのですが、ルート系に少しかげりが出てきているという感じはします。電材ルートはエアコンが好調ですが、照明に関しては少し元気がないような気がします。