電線に止まる鳥が感電しないのは、なぜ?
1985年のアメリカ映画『Back to the Future』では、過去にタイムスリップしてしまったマーティを未来に帰そうと、ドクことエメット・ブラウン博士が車型のタイムマシン「デロリアン」に落雷を利用して電力を供給した。「ナショナルジオグラフィック日本版サイト」によると、雷が1回落ちれば平均的な乗用車が290~1450km走れるエネルギーが生まれるという。さすがに時空旅行は難しいだろうが、落雷の電圧は最大で10億ボルトに達する。家庭用の電圧は100ボルトだから、なんと1千万倍だ。
ドクと同じような実験を行った科学者が実在する。1752年、アメリカのベンジャミン・フランクリンは雷鳴とどろく空に向かって、ライデン瓶(電気を蓄えられる容器)をワイヤーでつないだ凧を上げ、雷が電気であることを証明した。これは危険極まりない行為なので、良い子はマネをしてはいけない。良い子がする晴れた日の凧上げでも、電線に引っかかった場合は感電の危険性があるため電力会社などに連絡しなければならないが、ふと見ると、ハトやカラスは平然と電線に止まっている。なぜ感電しないのだろうか? それは、鳥たちが1本の電線上に止まっているから。ごく簡単にいうと、電気は電圧の高い方から低い方へ、抵抗の少ない方へ、逃げ道のある方へと流れる性質を持っているからだ。つまり、1本の電線に止まる鳥の右足と左足には電圧の高低差がほとんどなく、鳥の体に比べて抵抗が少ない電線の方へ電気が流れるのだ。感電とは、生体内を電気が流れて衝撃を受けることをいう。鳥が2本の電線にまたがって止まると、電気は鳥の右足から体内を通って左足に流れ、たちまち感電する。
電気工事は、特に屋外の場合、雷雨時の作業は避けるのが原則であり、また、やむを得ない場合を除いて、電気が通っていない死線状態で作業するのが鉄則だ。人間は、1本の電線の上には止まれない。
用途に合わせて使う多種多様な検電器
共立電気計器 低圧用検電器
電気回路や電気機器などに電気が通っているかどうかを確認するための便利な工具であり、電気工事士の必需品であるのが検電器だ。低圧用、高圧用、低圧・高圧兼用、特別高圧用といった種類があり、「ジャンボびっくり見本市」の出展企業でいえば共立電気計器や日置電機、カスタム、ネグロス電工、長谷川電機工業、神保電器など、数多くのメーカーが製造・販売している。電気工事士は、小型軽量で持ち運びに便利なペン型を使っている人が多いようだ。検知部を電線などに押し当てると、通電している場合は光りや音で知らせてくれる。また、高圧・低圧兼用は伸縮式の絶縁棒になっているタイプもあり、高圧の電線に近づかずに検知部を伸ばして検電することができる。いずれにせよ、安全に作業するためには必ず持っていたい。
ちなみに、検電器のルーツをたどると、イギリスの医師・科学者であり電気と磁気の父と呼ばれるウィリアム・ギルバートが、回転する針のような検電器を16世紀頃に発明しており、これが世界初の電気計測器といわれる。今から400年以上前というから驚きだ。また、フリー百科事典のウィキペディアによると、検電器がない時代は人が自らの手で検電していたという。なんとも恐ろしい時代である。生命にかかわる危険な行為なので、絶対にマネをしないでいただきたい。