小出力発電設備の保安規制の見直しを検討
経産省は、小出力太陽電池発電設備の所有者等に対してWEBアンケートを実施。その結果を踏まえ、電気保安制度ワーキンググループでは、小出力発電設備の保安規制の見直しについて検討された。
●背景
太陽電池発電設備の設置環境は多様化し、事業の運営体制、現場の保安意識、保安確保の能力は千差万別の状況である。このような中、設置場所や付近での土砂流出といった事例も報告され、事故件数や事故率も増加している。
今年4月より、小出力発電設備の事故報告制度が開始され、すでに6カ月で50 件以上の事故が報告されている。
そこで、小出力太陽電池発電設備の保安管理の取り組み等の実態を把握するため、小出力太陽電池発電設備の所有者(占有者)、基礎自治体、消防本部に対して、WEBアンケートが実施された。
■調査対象と期間
対象は、小出力太陽電池発電設備の所有者(占有者)である。2万者のうち3 891 者(約19 %)、基礎自治体、消防本部の250 者のうち163 者( 約65 %)が回答。期間は今年8月27 日~9月30 日。
●アンケートの結果
アンケートの結果から、以下のことが判明した。
①設備関係
• 所有者等の9割以上が事業者
• 設備の設置形態の約65 %が地上への設置(第1図)
• 設備の多くは設置段階から所有者が同じであるが、約2割は他者から購入
第1図 設備の設置形態
②設計、施工
• 設備の設計や施工の多くは専門業者に委託
• 8割を超える所有者は運転開始前に設備の安全性を確認
③図書の保管
多くの所有者は、設計図書
(電気、構造)を保存しているが、構造計算書や竣工検査結果は半数、地盤試験データは約3割しか保存していない。
④維持、運用
• 過半数が保守点検、維持管理の計画を策定して実施体制を構築
• 過半数が協力事業者(販売店、施工店、O&M事業者)に運用、保守を委託
第2図 運用、保守の実施者
■ 基礎自治体、消防本部のアンケート
3割強は、近隣住民から「排水対策ができておらず、降水時に接している道を伝って雨水が流出」などの通報(苦情)を受けており、小出力発電設備が過半を占めることが判明した。
■今後の見直し
アンケート結果を踏まえ、これまで一部保安規制の対象外だった小出力発電設備(太陽光、風力)について、新たな類型(小規模事業用電気工作物)の創設や基礎情報届出の新設、使用前自己確認の範囲拡大などが検討される。