古河電工 無酸素銅条の板厚精度を向上 パワー半導体向け

古河電工は22日、パワー半導体の基板用途で出荷数量を伸ばしている無酸素銅条「GOFC」の製造において、板厚(0.25~2.0㎜に対応)の変動を、従来の半分に低減したと発表した。
同製品は、約800℃の高温熱処理後でも結晶粒径を小さく抑えられる耐熱性を有しているため、パワー半導体の出荷検査のバックグラウンドノイズなどを低減することができる。その結果、パワー半導体の製造ロスの低減、出荷検査の歩留まり向上に寄与する。
パワー半導体の基板は、セラミックスの両面に無酸素銅板を貼り付けた構造をしており、銅板貼り付け工程の熱による膨張・収縮に表裏面で差異が生じ、基板に反りが発生することが課題だった。そこで同社は、板厚制御技術のノウハウを活用し、GOFCの板厚変動を半分に低減することに成功した。
パワー半導体は、電気回路の電圧や周波数を変えたり、直流を交流へ、交流を直流へ変換したりする機能を持つ。例えば、モータの回転を低速から高速まで高効率で制御する、太陽電池で発電した電気を無駄なく送電する、様々な家電や電気器具に安定した電源を供給するなど、カーボンニュートラルの実現に欠かせない部品となっている。
また、同社は22年度のGOFCの出荷量について、20年度比で倍増となる月間50㌧を目指すとし、今後の増産要求に応えられるよう生産体制を整えていくとしている。

電線新聞 4283号掲載