【住友電工】 寒冷地用高難燃ケーブル トルクメニスタンに納入

住友電工は10日、零下40℃の環境下でも配線可能な「寒冷地用高難燃ケーブル」を開発し、トルクメニスタン国の世界最大のガス・ツー・ガソリンプラント(GTG)向けに納入したと発表した。

受注は約400㎞分、実際に導入されたのはGTG向けが初案件となった。ケーブルの用途は、構内設備の配電がメインで、このほかは機器用配線制御向け。品種数は合計で約70品種、うち外部シース架橋ポリエチレン・内部シース塩ビ型が約50品種、外部シース塩ビ・内部シース塩ビ型が約20品種。インドネシアの連結子会社(住友電工の出資比率93%)「スミ・インド・カーベル」が製造し、納入を完了した。

一連の案件は16年、川崎重工から受注。19年にGTGの運営が開始されて以降、同社の寒冷地用高難燃ケーブルが、厳寒の環境下でも問題なく稼働しているという。

今回、寒冷地用高難燃ケーブルを採用したGTGは、トルクメニスタンの国営公社トルクメンガス(社名:State Concern Turkmengas、本社:アシュガバード市)が運営し、川崎重工とトルコの建設会社「ルネッサンス社(本社:アンカラ)」のコンソーシアムが建設した、天然ガスを原料として年間60万トンの高品質ガソリンを製造する世界で唯一のプラント。

GTGが建設されたトルクメニスタンは、中央アジアの南西部にあり、夏は40℃~50℃、冬は氷点下になり、季節間に限らず、日中と夜間との気温差が大きく、気候条件が非常に厳しい。この厳しい環境下にGTGの安全性を考慮し、ケーブルに要求された特性は、零下29℃の厳寒でも使用できることだった。

そのため住友電工は、コンパウンド(被覆材料)の配合処方を工夫して新たなケーブルを開発。従来の高難燃ケーブルは零下15℃前後の環境下になると配線状態によっては、被覆が割れてしまうことがあった。今回のケーブルはマイナス40℃の環境下も被覆が割れず、高い難燃性(IEC60332-3-24)を備えた。また、寒冷地用高難燃ケーブルは、ロシアやモンゴルなど、寒冷地の顧客から引き合いがあるという。

電線新聞 4194号掲載