建販の好調 年度内など見方は3つ

増税 駆け込み少なく 五輪需要の反動も少ない


東京五輪施設の追い込み工事や都市再開発案件向けなどで、建販電線市場は活況が続く。太物やエコ電線などには、品種やサイズによっては品切れが発生している。業界筋では、この好況の継続時期について「年内一杯」「年度内一杯」「20年度まで」と、見方は3つあるようだ。


工事用汎用電線ケーブルの需要が活況なさなか、建設電販分野の今後の需要見込みについて、電線業界の見方は3つに分かれる。

一つ目は、秋から年末に掛けて一度踊り場に入るとした見方。主に電設受注を得意とする企業に多く、東京五輪施設などの大型プロジェクトが一段落し、受注が端境期に入るためだ。この見方をするサブコンなどのユーザー筋は、大きな案件が完工し、先が読みにくい、としている。

二つ目は、年度内一杯は、こうした程度の受注があるとした見通し。電設及び市販の双方を手掛ける企業に多いようだ。東京五輪施設の工事が終盤に差し掛かっても、再開発案件などの受注が年度内は好調に動き、目減り分をカバーすると捉えている。

三つ目は、20年度までとした予想。この見方は、もともと五輪絡みの受注量は少ないと想定していた企業などに多い。五輪のような大イベントがあると、五輪本来の需要量にあまり関係なく、これに照準を合わせた形で他の工事が進み、遅れ気味の様々な建設工事によって、需要が集中してしまい、その皺寄せで電線需要のピークの山が高くなる。そうしたピーク需要を勘案しながら、おしなべてみると、20年度までは高水準で建販需要が推移するとみている。背景には、再開発案件が目白押しに控えていることや公立小中学校のエアコン設置絡みの需要が継続することなどを挙げている。

一方、この3つの見方に共通していることは、2点ある。第1点は、消費税率引き上げにともなう需要の影響は少ないとした予想。今回の増税では、大きな駆け込み需要が無ければ、その反動の需要減も軽微としている。
第2点は、東京五輪後の急激な需要減が発生しないという予想。東京五輪で後回しになった案件や都市再開発に加えて超高層ビル建設も相次ぐとみている。

電線新聞 4173号掲載